中学受験理科は難しいのか
結論から言うと、中学受験理科は難しいです。
こんなことを言うと希望を奪うようですが、相手を知ること、相手を認めることは大事です。どういうところが難しいのかをしっかり理解した上で対策をすべきだと私は思います。
「えっ、中学受験の理科なんて簡単じゃん」と思ったあなたは中学受験経験者だと思います。あなたの経験とお子さんを重ね合わせるのは大変危険です。自分ができたから子供にもできるという考えは捨てましょう。お互いにいやな思いをする可能性があります。
別の記事で書きますが、例えば開成や筑駒出身の父親が成績が中下位の子を自分流に教えるのを今まで何度も見てきましたが、その子にとっては災難というしかありません。
では、何が難しいのか。2点挙げたいと思います。
1. 物理、化学、生物、地学の独立した4分野があること(理科の本質的には繋がっているのですが、小学生の範囲では独立しているようにしか思えない)
ちなみに私の専門は物理です。この仕事を始めてとても苦労したのは生物と地学です。同じ理科とはいえ、生物、地学は専門外。ベースの知識がない状態で植物や気象などを人に教えるのは、単なる事実の羅列であって、授業とは言えないことがしばらく教えてわかりました。
同じことが受験勉強でもいえるかもしれません。保護者の方が教えるときも、上のことは念頭に置いていただいた方がよいと思います。
2.小学生の学習範囲を越えたものが出題される
これはもうご存知の方も多いでしょう。小学校では習わないことが平気で出題されます。下手をすると高校の教科書、大学入試のレベルからも出題されます。
よく考えれば、テストを作るのが中学、高校の先生なので当然なのですが、子供たちにとっては大変です。ただし、いわゆる難関校になればなるほど、中高範囲の内容を小学生用にアレンジするのが上手です。ここは先生の腕の見せ所です。
余談ですが私もテストの執筆を沢山してきました。大学入試の問題を小学生用にきれいに作り替えられたときは、ガッツポーズものです。(ちなみにその問題は、難しすぎるということでボツになりました…。テストには平均点の設定なんかもありますので。)
もう一つ出題範囲に影響を与えているのは、「予習シリーズ」の存在です。昔から中学受験のバイブルとして使われてきました(初版はなんと1960年発行)。フルカラーでここまで書くかというくらい練り込まれた素晴らしいテキストです。
しかし、受験生だけでなく、問題を作る側にも影響を与えることになります。「予習シリーズ」に載ってるから出題しても大丈夫と判断されたわけです。現在の中学受験における出題範囲が決まるきっかけになったと言えます。
ただし、今の入試問題はそれすら超える範囲に飛び出してきていますので、今では「予習シリーズ」だけではカバーできなくなってきています。
以上の2点から、中学受験の理科は大学で理科系を専攻していた人間にとっても難しいものだと言えます。
それを理科的知識のない小学生が学習するので、なおさらです。
まずは、小学生が苦しむのは当たり前というスタンスで、理科と向かい合ってもらいたいと思います。